古い木造建築にまつわる話を聞くと、その木の使い方には驚かされます。
いま普通の民家を建てるとき、大工さんは製材された木を材木屋さんに注文して、
柱や梁や天井用にと目的に合わせて買ってきます。
しかし昔は棟梁が自ら山に行って「この木は柱に」「この木は梁に」と
使い道を決めて山で大雑把に製材して運んできていました。
大きな建物をつくるには大量の木材が必要ですが、
そうした材料を買うときには山の木を丸ごと買うことを勧めているのです。
その訳は次のような関係があります。
木は自分の育った環境の影響を大きく受けています。
それがその木の癖となって、材木になった後でも出てくるのです。
日当たりのいい南側には枝がたくさん出て葉を茂らせ、
北側の枝には日が当たりませんので、枝の数も少ないです。
柱や板にすると枝は節となって残ります。
ですから一本の木から柱をつくっても日当たりのいい南側には節が多く、
北側には節が少なくなります。
材木を扱う大工さんたちは、日を受けて育ったほうを「日表」、
日の当たらないほうを「日裏」と呼んで区別し、使い方に工夫を凝らします。
古い木造建築物の柱を見ると、南側の柱には節が多くあるそうです。
山の南斜面にある木は建物の南側に、北のものは北に。
木が生えていたときと同じ方向に使っています。
「木は育ったままの方向で建物にすれば、建物は長持ちする」という事だそうです。
私たちのものづくりでは、1本の木から製品を作り上げるようなことはできませんが、
板材を使うときに気を付けていることがあります。
広い面積の天板や座面を作る時、
一枚板では幅が狭くて作れませんので、
何枚か幅の狭い板を接ぎ合わせて大きな板材にします。
同じ板材もしくは違う板材同士を接ぎ合わせますので、
天板の木の表情が違和感無いよう何枚もの板材を組み合わせていきます。
基本は、木表と木裏を交互に組み合わせることで
大きな面積でも反りづらくなりますので、
木目と木の性質を見極めながら板接ぎをしていきます。
ここは職人の経験とセンスが欠かせない製品のはじまりの部分です。

